本工業会は「日本サイクロデキストリン工業会」として、平成5年4月1日、橋本仁初代会長らによって創設されました。その設立の目的は、新素材としての機能性環状オリゴ糖であるシクロデキストリンの消費者の立場に立った健全な普及を図るとともに、シクロデキストリン工業の振興と国民経済の発展に寄与し、あわせて会員の親睦を図ることです。この間、産業界、大学および公的研究機関との密接な連携のもとに、シクロデキストリンの新たな需要の創造と市場開拓を推進してまいりました。また、平成18年には、「日本シクロデキストリン工業会」と改称し、会員一同新たな飛躍を誓い合ったところです。
シクロデキストリンの工業的生産は世界に先駆けて1980年代後半に日本で開始されました。また、機能性オリゴ糖としてのシクロデキストリンの食品用途開拓も日本に始まり、日本から世界に発信されたものです。それによって、工業用途や医薬品用途以外に、未開拓の市場であった日本国内の食品用途市場は大きく発展してまいりました。
近年、α-、β-およびγ-シクロデキストリンなどの従来のシクロデキストリン以外に、新しい環状四糖、五糖、及び六糖、さらには大環状グルカンが見出されているほか、シクロデキストリン誘導体の分野でもポリロタキサン(スライドリングゲル)などが開発され、環状糖質の世界がよりいっそう広がるとともに、その将来の発展に大きな夢と期待が寄せられております。
今後ともシクロデキストリンを含めた環状糖質の健全な発展をめざして、消費者の立場に立った普及活動や啓蒙活動を進めてまいりますので、何卒ご支援賜りますようお願い申し上げる次第です。
日本シクロデキストリン工業会会長
寺尾啓二